CP+ 2019 ナナメ下からの視点

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カメラの祭典、CP+2019が終わって早くも一週間経ってしまいました。

私の場合、CP+は新製品を見に行く・・というより、なかなか店頭などに並ばない・・・店頭で買おうと思っても大概お取り寄せ、となっているような、レアものを見に行く場となっております。
新しいカメラのハンズオンは、ちょっとだけ待てば量販店などでもできるようになりますし、猛る気持ちはグッとこらえて(笑)、このような大きな展示会じゃないと出会えないようなモノを探すのがお得なように感じています。
冒頭の画像は、Panasonicの新システム、S1/S1Rのハンズオンの行列の様子ですが、最終日のお昼前で30分待ちという状態でした。なのでサクッとパス(^^;

さて、そのPanasonicをはじめとする主たるメーカーのブースの様子そのほかは色々と詳しくレポートされておりますので置いておいて(笑)、少し変わった視点・・・すこし動画軸に偏った視点から眺めて、面白いなと思ったものをいくつかピックアップしてみました。

 

Kenkoの可変NDフィルター

可変NDフィルターは、動画では必須のアイテムの一つです。動画の場合、シャッタースピードを適切に・・具体的には撮影するフレームレートと等しいか、2倍程度までに押さえ込まないと不自然に写る可能性があるためです。
撮影するフレームレートは24fps、30fps、60fpsなどが一般的ですので、シャッタースピードも1/25~1/120ぐらいを多用することになりますが、いくらか絞り込んだとしても晴天下ではここまでシャッタースピードが落ちません。
そこでNDフィルターを装着するのですが、可変NDフィルターがあるとその時の絞りや光の状況によって光量を自在にコントロールして、適切なシャッタースピードを得やすいのです。ND16,ND32,ND64などとじゃらじゃら持ち歩く必要も無くなりますし。

ところが、そんなにいいことばかりではなくていくつかの欠点があります。その一つが色かぶりで、二枚の偏向ガラスを組み合わせて作る構造などに由来して、今までの製品では少し黄色味がかぶるため、WBの調整が必要になるケースがありました。
それを解消したのが、Kenkoの新製品です。


究極の可変式NDフィルター、と銘打たれてましたが、詳しい製品名その他は失念してしまいました・・
従来品と並べておいてありましたが、明らかにその黄色みが軽減されておりました。

ところで、この可変NDフィルターにはもう一つおおきな欠点がありまして、その効きが最大MAXに近いところを使ってしまうと、X状の色ムラがでることです。
残念ながら、この究極の可変NDフィルターはそれはまだ解消できないようでした。
こんな風になってしまいます。 下の写真は、わざと効きをMAXにしてあえてこのX状ムラをだしてみたものですが、これをうまく解消した製品はできないのかな??

あとは、Kenkoブランドの可変NDフィルター、品質は非常に高いと思うのですが願わくばもう一段お値段が下がってくれると嬉しい・・・例えば従来品でいきますと直径77mm、ND2.5~1000相当のフィルターで定価¥55,000円・・・実売¥30,000ちょっとですか。

 

ATOMOS NINJA V

スチルがメインの方ですと、このATOMOSというメーカーは聞いたこともないかもしれません。このメーカーは外部レコーダーのトップメーカーです。
外部レコーダーとは、データ量の問題などでカメラ内部で収録しきれない、たとえば4K6oP、4:2:2 10bit映像などをHDMI経由パススルーさせてカメラ内部のSDカードではなく外部に記録するためのものです。
SSDカードなどを実装して、高ビットレート、高フレームレートの映像、更に圧縮率がより低いProResなどのコーデックで収録することができます。

写真はATOMOSの廉価帯レコーダーの新製品、NINJA V。 一つ前のモデルであるNINJA INFERNOが7インチバージョンでそれなりに大きな筐体であったのですが、これを5.2インチまでスケールダウンさせて小型化を図ったものです。
とても小さくなって扱いが容易になっているように思えました。これならケージに組んだりするのも容易で重量も抑えられるので、ワンオペで映像収録されるかたには大きな味方になってくれそうです。

しかしながら、このATOMOSというメーカー、オーストラリアの会社なのですが、商品名がSUMO(フラッグシップ製品となる19インチレコーダー)、SHOGUN(ハイアマ向け)、NINJA(SDI端子を省きHDMI専用としたコンシューマ機)と、ちょっとビミョーな日本語センス・・
どなたがブランディングしているのでしょう(笑) NINJA→SHOGUNまではまだわかるのですが、その上のフラッグシップがSUMO・・・うーん謎。

 

DJI OSMO Pocket

年々ブースが拡大しているDJI、もはやCP+でもおなじみとなりました。ドローンのユニコーン企業です。
しかしながら、今年もっとも賑わっていたのは小型ジンバル、OSMO Pocketのハンズオンコーナーだったように思えました。

製品をもたれる男性の手と比較してもその大きさがおわかりかと思いますが、大変コンパクトでありながら4K 60P(ビットレート100Mbps)の映像収録が可能で、しかも3軸の補正ができる電動ジンバルです。
何人もで、撮影用に置かれていた観覧車のミニチュアを取り囲んで、一心不乱にジンバルで撮影している図はちょっと異様ではありましたが(笑)、DJIの技術が垣間見える製品だと思います。

MOUSE  COMPUTER DAIVシリーズ

これは撮影機器ではなく、パーソナルコンピュータです。MOUSE はBTO専業のメーカーとして有名なのですが、近年ではクリエイター用PCというジャンルに力をいれています。
このDAIVというブランドは、MOUSEのなかでもそのクリエイター用途に特化したパーツ選定を行っていて、メモリを多めに実装したりとか、CPUも多コア多スレッド、高クロックのものが選択できたり、Thunderbolt3インターフェースを搭載したり、など高速かつ大容量のデータを扱う方向のカスタマイズをしています。
なかでも、17.6型のノートPCで、その液晶の表示色域がAdobeRGB100%、というものがありました。

ハードウェアキャリブレーションの可否までは確認してこなかったのですが、おそらくそこまでは対応していないのかな?

AdobeRGBは使いどころや運用を間違うとかえって痛いだけのカラースペースなので、AdobeRGB100%対応であることがプレミアム、みたいな売り方はちょっとどうかな?とも思いますが、そういう能力をもったノートPCが出てきた、という点ではおっ?と思いました。

MOUSEのようなコンピュータービルダーや、そのほかにもNASのトップメーカーの一つであるSynologyなどもブースを出すようになっているあたりが、昨今のデジタルメディアの大容量化を示しているとともに、次第にInterBEEのような映像の展示会との垣根も次第に低くなっているように感じました。

 

まだいくつもあったんですが、まあこのあたりで(笑)
っと、CP+でも変なものばかりを見てしまう私ですが、こういう場でないと見れない現物はかなり多いので、たとえば何日かある会期のうちの一日をそういう日に充てる、みたいな周り方も、CP+の楽しみ方の一つになるかもしれません。
ぜひ、来年試してみてください(笑)

 
これもすっかりCP+ではおなじみになりましたね、ルミカのiRod。

RM