自らの手で生み出せるモノ【写真プリント】

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モノとして写真を現す、ということ

いきなりですが、kalipeをご覧頂いている皆様のうち、この一ヶ月で写真をプリント・・インクジェットプリンタでも、お店のプリント機によるものでも良いのですが・・画像データからモノとして作り出された方はどれほどいらっしゃるでしょうか?

また、暗室に入って、写真プリントを自らの手で焼き付けたりオルタナティブ・プロセスと呼ばれる、写真がこの世に誕生した時代から存在している古典的な手法を用いてプリントを作られたことはあるでしょうか?

ネットワークが広く、そして当たり前に浸透した今の時代、カメラやスマートフォンなどで撮影したデジタルベース画像データを見せる場は多種多様に存在し、写真プリントというアナログベースの物理的なモノとして現す必要性自体が薄まっていることを感じます。

それでも、撮影で得られた画像データを、プリントというモノとして現すという行為は今、この時代においても確かに存在し続けていて、そしてそれは細々と生きながられているという感じとは違い、デジタル写真の登場から一周回ってまた違う意味を放ち始めているようにも思えます。
世田谷にある、あるレンタル暗室でのプリント作業を撮影した3分ほどの動画をまずご覧頂ければ、と思います。

撮影済みのフィルムを吟味し、あるカットを選び出す
選んだカットを引き伸ばし機にセットする。
セーフライトだけが点灯し、真っ赤な光のみの視界の効かない暗室で、印画紙感光させる。
現像液に浸して像として現し、決められたプロセスに従って定着させて水洗いし、乾燥させる。

 

 

と、スマホで撮影完了後に10秒ぐらいインスタに画像を投げられるのとは対極にあるような行為ではありますが、手段は暗室プリントであれインクジェットであれ、どの写真をプリントにするのか選ぶことからスタートし、自らの手を動かして処理をして新しい”モノ”を作り出す行為は、SNSへの投稿などへのデジタル完結型の表現よりも一段階深く深耕した表現,とも言えるのかもしれません。

あるいは、速さ広く浅い伝搬に強みを持つデジタル媒体(画像データ)、そして作るのも見るのも見せるのもとにかく時間がかかって、しかも極一部の人にしか届かないけれど、作り手の意図を深く届けることができるアナログ媒体(写真プリント)、という構図とも言え、様々な手段を選ぶことが可能な時代に生きていることになるのでしょう。
どちらが良くて、どちらが悪い、というのではなく、お互いに強みがある表現であって選択することが可能だ、ということです。

 

写真をプリントする、という行為の今後

さて、昨今の写真撮影といえばデジタル撮影であることはもはや否定のしようのない事実であって、そのデジタル撮影のありようもコンパクトデジタル、デジタル一眼レフ、ミラーレス一眼によるものと変遷し、いまやカメラという存在自体すら、2007年に登場した”スマートフォン”という新しいデバイスにその軸を奪われるという時代となっています。
先日、以下のようなニュースが流れてカメラメーカーの今後を心配されている方も多いのではないでしょうか。引用元はBCN+Rより。

https://www.bcnretail.com/market/detail/20191110_144957.html

デジタルカメラ市場の縮小が止まらない。全国の家電量販店やECショップでPOSデータを集計する「BCNランキング」によると、2018年のデジタルカメラ市場は絶頂期である10年の約30%規模まで縮小していることが分かった。19年は、さらに下回る可能性がある。

一方、カメラをハードと定義するなら、ソフトたり得る”写真”の変遷は今後どうなっていくでしょうか?全盛の”映え”を意識したSNSによる共有、というスタイルが今から5年後には既に時代遅れになって、今、思いもつかないような新しいメディアがまた世の中に誕生している可能性も十分ありますし、その時にはプリントを作るという行為が何を意味していて、どのように使われていくようになっているのか、興味は尽きません。


Kodak 白黒フィルム プロフェッショナル用 35mm トライ-X400 36枚 8667073

 


ILFORD 白黒印画紙 MGIV RC 1M 8X10 六切 25枚 1168190

RM